GV第2段とMatrisカートリッジ
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FRGV S02(伸側)/FMGV S2040(圧側) |
米国のoemcycleに発注していたRacetech GoldValveが届きました。
前回と同じ型番ですがシム袋の内容が違います。また前回と異なりシムスタックを1回だけシミュレートしてくれるDVSへのアクセスコードカードが今回は二つとも付いています。
GSX-R600K1フォークの分解とGV準備
今回はGSX-R600フォークにGVを組み込んで行きます。このフォークは高いスプリングレートにしろ圧側はメーカー純正の仕様では無さそうな気がしますが、伸側は片側のカシメしか加工痕が無いので純正のままかもしれません。
前回のGV構成と同じにするのも面白くありませんし、この構成を眺めてみてGVの構成をアレンジしようと思いつきました。伸側のカシメはグラインダーでネジのカシメ部分を飛ばしてやすりで均した後にタップを立てました。
DVSシミュレート:GVチャート記録更新
GVのシム構成を決める上でRacetechサイトにあるDVSでセッティングを見積もる事が出来ます。
前回はストリート用途でしたし。今回はGVのパッケージに付属するアクセスコードをDVSサイトに入力して体重と用途(Track Day:サーキット走行用)を適当に追加してみました。当然ながら高荷重対応にスプリングレートが上がり大径シムの枚数が増える結果となりました。
DVSのアクセスコードですが1回の利用のみ有効です。前回はある程度の試行錯誤は許容していたのですが、何時の間にか入力設定を変えて設定を変えてみたいとかは出来なくなっています(^^;。
最もこの結果をそのまま使う訳ではありませんが前回の結果と合わせてシム構成を検討します。まあ、適当に決めて行く予定ですが(笑)。
Racetech GoldValve組込み
最初にスプリングのバネレートはMatrisの8.5Nm(0.87kgf)では無くフォークに装着されていた9.0Nm(0.925kgf)のバネを使ってみる予定です。
DVSの結果と元々のシム構成を踏まえて減衰を上げる方向に積んで行きます。
伸び側減衰バルブ・シム構成
〇伸側
クロスオーバーシム(11.0mm)は無し。
番号 外径xシム厚x枚数
1 17x0.15x5
2 16x0.15x1
3 15x0.15x1
※1~3までは低速(Low-Speed)・高荷重側シム想定
※4~7までは高速(High-Speed)・低荷重側シム想定
4 15x0.10x1
5 14x0.15x1
6 13x0.10x1
7 11x0.10x1
8 09x0.30x1
9 調整ワッシャー
クロスオーバーシム(11.0mm)は無し。
番号 外径xシム厚x枚数
1 17x0.15x4
2 16x0.15x2
3 15x0.15x1
4 15x0.10x1
※1~4までは低速(Low-Speed)・高荷重側シム
※5~9までは高速(High-Speed)・低荷重側シム
5 14x0.15x1
6 13x0.15x1
7 12x0.15x1
8 11x0.15x1
9 10x0.15x1
9 09x0.15x1
10 11.4x0.4x1
11 調整ワッシャー
バルブ反対側のチェックプレートは17x0.4x1→17x0.2x1にしました。
また増えた厚みに応じて調整ワッシャーは厚みを変えています。
フォークチューブ組立
フォークのトップキャップにあるOリングを交換します。アジャスターロッドのOリングから交換しますが、小さいしシリコングリスを塗っているせいで結構面倒でした。一応、突起や鋭い角を通す時にはビニール袋を切って養生して嵌め込んでおきます。
次にフォークチューブにブッシュとシール類を組込みます。インナーチューブにスライドブッシュを嵌め込み底にオイルロックピースを追加し、外に出て養生したコンクリート面でアウター側に同じくスライドブッシュとシートリングとシールをストッパーリングの溝が見えるところまで打ち込みます。
GSX-Rの英語マニュアルにはシートリングやシールの上下は特に記載がありませんね。フォーク分解時の撮影画像を元に上下を合わせておきました。
次回はカートリッジ部分の減衰機構のネジ部にネジロックを塗布して締めてから、カートリッジに組み込んでフォーク組立を完成させます。
スラストベアリング組込み
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スラストベアリング組込み |
スプリングとカラーの間に樹脂製のオイレスフランジに3~6を組み込みます。1,2はスプリングの圧力が掛かってフランジが潰れない様に上から蓋にしています。6をステンでは無く鉄にしたのは安かったからです。撓みはしないと思いますがw。
※上から順番
1.ステンシム(OD40mmxt1mm)
2.スプリングジョイント(OD38mmxt1.5mm)
3.ステンシム(OD35mmxt1mm)
4.NTB2035ニードルローラーベアリング(OD35mmxt2.0mm)
5.ステンシム(OD35mmxt1mm)
6.鉄シム(OD40mmxt1mm)
純正スプリング長の確認
上画像の角度が悪くて少し長く見えますがGSX-Rに付属していたスプリングは上256mm/下258mmです。大体2mm差です。片側だけ経たっているとも考え難いですね。
別途購入したGSX-R600用のMatrisスプリングは260mm。カラーは91mmでMatrisが純正スプリング+カラーの長さに合わせているものと仮定すれば純正バネ+カラーの長さは351mmになります。
今回、8.5NmのMatrisスプリングは使わずGSX-R付属バネ(9.0Nm)を流用します。これを純正の長さに概ね合わせるか、長い分にはプリロードアジャスターのセット長からその分差し引いておけば良い訳です。
※セット荷重は用途は異なりますがGVのDVSを参考にします。
スラストベアリングとスプリングとスプリング長の差分には追加カラーを組み込んだ全長は大体356mmになりました。メジャー計測ですのでコンマ以下の細かい単位は割愛しますw。
GSX-Rフォークはまだパーツを調整中で稼働はまだ先になりそうです。
T595フォークへMatrisカートリッジ組込み
Matrisカートリッジキット入手
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T595用Matrisカートリッジキット FRKハイドロキット |
某所で1点のみ8x%オフで売られていたので速攻で買い上げました(笑)。
キットの内容はスプリング(9.5Nm)x2本。ジュラルミンスペーサーx2本。モトレックスフォークオイル5W(粘度22.5位?)x1.5L。伸側減衰バルブx2本。圧側減衰バルブx2本。
日本語説明書・保証書(松本エンジニアリング)。Matrisの取説、ステッカーでした。
手持ちのフォークは2本共リバルビング済ではあるのですがカートリッジ内部パーツはストックが有った方が便利です。ただしこの手のパーツってバネレートの諸元や構成パーツの情報がサイトにもほとんど無い状態で各車種専用として売られているだけなので、わざわざ交換してセッティングしたい人向けにRacetechみたいにセッティングチャートや車種のデーターベースを掲載してないと誰も買わないでしょうね・・・。購入した説明書には諸元が書いてあるのが流石イタリア製。
ちなみに説明書に書いてあるバネレートは9.5Nmでした。純正は0.77~1.00kgmまでのデュアルレートなので高荷重寄りで油面も高目(105mm)。
金フォークは8.5Nm/110mm。Racetech GVを組み込んだ銀フォークは8.0Nm/120mmです。
ハイドロキットバルブ・シム構成
分解して計測まではしていませんが伸側は高速側シム2枚としなりの大きい低速側のシムスタック。圧側はほぼ純正のシム構成と同じ様に見えます。これにモトレックスの5W(粘度は22.5位で7.5W相当かも?)の組み合わせだと減衰力が発揮されるのかはちょっと不明ですね。
今のRacetechバルブを組み込んだフォークにバネと油面だけ替えて実走するのも面白いかもしれません。
Matrisカートリッジキットのフォークに組込み
この時期は金フォークの劣化問題の調査にGVを組み込んだ銀フォークの点検が重なりGSX-Rフォークも未完成の状態でした。そこで残ったT595フォークにMatrisカートリッジキットを組み込む事にしました。
縁側で蚊取り線香を焚きながら、洗浄済のカートリッジにMatrisバルブを組み込みブッシュとオイルシールをインナーチューブにセットしてアウターチューブに打ち込んでフォークを組み上げました。
スプリングもオイルもMatrisのものを使う予定です。
このフォークはトップキャップ、伸び・圧側アジャスター、オイルロックピースにOリングが使われています。
まあ、使用頻度は少ないし漏れなければあまり交換する必要性も無さそうですが年代的には金フォークと同じですので交換する事にします。
トップキャップに組み込まれた伸側減衰アジャスターのOリングを全て交換し、インナーカートリッジをアウターチューブに固定するボルトから潰れて外れ難い銅ワッシャーを取り外し新しいワッシャーに替えて規定トルクで締め込みました。次にMatrisのキットに付属しているMotorexのフォークオイルを入れてエア抜きしていきます。
インナーカートリッジのストロークが重くなってエアが混ざらなくなったら暫く放置しておきます。
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充電中 |
エア抜き中に955iのバッテリーを充電しておきます。日除けに2mx2mのタープを買ったので車体が熱くなる事も無く快適です。
T595フォーク組み立て完了
オイル粘度Motorexの5番(40度動粘度22.6)。油面105mm。スプリングレート9.5Nm。
バルブ・シムの構成を見る限りスプリングの荷重に対して減衰が弱い感じがします。
現行のGoldvalve仕様はKawasaki KHL-15-10(動粘度15.5)、油面110mm。スプリングレート8.0Nm。
スプリングレートとオイル粘度の異なるGoldvalveのシムスタックは17mmの大径シムの枚数とそれ以下の階段状シムの積み方が異なりますのでGVとMatrisフォークとは各々動きが変わってくる筈です。
さてMatrisカートリッジキットを組み込んだフロントフォークです。スプリングも油面も上がっているため、最初に走り出した感じはフロントのステム位置が上がってアメリカンみたいです。
それでも切れ込みがきつくなって無いのは減衰がまあまあ効いているからだと思われます。
相対的にフロントが低い前回の仕様と比較すると操舵の際のヘッドの動きが若干重くなるものの安定感は増しています。ステアリングステムの相対的な(リヤと比較して)はブレーキング時の操安からリーンに入る時のステアリングの操舵感と車体の旋回については未だに悩むところではあります。
この後にブレーキを強化し減衰バルブを硬めに振ってスプリングのバネレートを上げたGSX-Rフォーク仕様が控えているので、そこまではやりたいと思います。
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